第52章

立ち上がった御影怜司は背が高い。脚はすらりと真っすぐ伸び、広い肩に締まった腰。シャツの袖口は無造作に肘のあたりまでまくられ、覗く腕の筋がいやに目を引いた。

肉体は人を惑わすほどで、顔つきは相変わらず邪気を孕んだ獰猛さ。眉尻から顎までを一直線に貫く傷痕が、その凶相を決定づけている。

――羅刹の面、修羅の心。

まさに、そんな男だ。

邪悪で、傲慢で、近寄りがたい。なのに今は片手を何気なく酒井初音の肩に置き、誰にも触れさせないと言わんばかりの庇い方をしている。独占欲むき出しの、あからさまな「うちのもの」だ。

久世美月は、怜司が立ち上がった瞬間の、気怠げで妖しい貴胄の佇まいに目を奪われた。

...

ログインして続きを読む